夏祭りだよ! アンソロバトル「ささみさん@がんばらない」 by 新木 伸

2010年08月19日

 昨日の日日日先生のバトン(挑戦!?)を受けまして、「GJ部」の新木先生が、「ささみさん@がんばらない」を魔改造……!
 
 はじめは、「アンソロだと、うまく四コマ小説にできるか不安だー。大丈夫かなー」なんて言っていた新木先生ですが、書き上がってみたら、なんと……!
 げに恐ろしきは習慣なり!??
 



 
 新木伸です。
 日日日先生から挑戦――げふんげふん、楽しそうな遊びのお誘いを受けまして、やるおー! と、たまちゃんみたいに明朗かつ快活に手を挙げました。
 ブログの記事ではわかりにくいですが、これって、じつは4コマ小説になってます。文庫本の体裁にしたときに、ぴったり4ページ。1行の誤差もなくきっちりかっちり4ページ。あと4コマ小説ですから、もちろん、「イラスト指定/コンテンツ」も作品のうちです。ご一緒にお楽しみください。
 
 P.S.
 「GJ部」で封印している「下ネタ」全開でやれて、楽しかったっすー。
 

「ぬぎまー?」(著/新木 伸)

※「ささみさん@がんばらない」シリーズ
(著/日日日)より


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「ぬぎまー?(1)」
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 それはある物憂げな午後のこと。
 わたしがひとりの秘めやかな愉しみに耽っていたとき――。
「誰にケンカ売ったか思い知らせてやんよ!」
「姉さん、わたしはただ事実を申しあげただけなのです。姉さんがわたしに勝てる可能性は限りなくゼロに近いと」
「ママりんのお部屋だー! わーい。きったなーい!」
 私室のドアが突然開けられて、どやどやと三人が踏みこんできた。
 四重に張りめぐらせた対侵入者用結界を――バグキャラっぽい神格値を持つこの三姉妹にも通用するはずの強度の結界を、いったいどうしてどのようにぶち破って来たのかと思えば、なんのことはない。お兄ちゃんも一緒なのだった。部屋に張った結界は、お兄ちゃんだけは通行可能な設定にしてある。
 でもそのときのわたしは実際慌てていて、そんなことを考えている暇はなかったのだけど。
「たまはテーブル! かがみは毛布な!」
 小さく偉そうな生物と、無表情に眠そうな生物と、いつもニコニコ笑顔の生物とは、持ち主もどうかという精度でわたしの部屋の捜索をはじめた。そして四角いミニテーブルと、毛布と、クッション四つを探し出し、セッティングを整える。
 正方形のミニテーブルのそれぞれの三面にそれぞれが座り――。
 そして、すっかり傍観者となっている「わたし」を手招きしてきた。
「さあ」
「さあ……。じゃなくてつるぎ。なに。なんなの? なんでわたしの部屋に来んの?」
 わたしは秘めやかな愉しみ――書きかけのお兄ちゃん妄想小説、灰かぶり姫と王子さま編――をセーブして閉じた。ちなみにこれまで画面に覆い被さって、見られないように必死だったわけだが、わたし以外の誰も関心はなかったようだ。ちっ。
「いや、かくかくしかじかで」
「なるほど。――とか言うと思った? 説明しろっての。じゃなきゃ出ていけ」
 わたしは冷たくそう言った。長女のつるぎは小学生的に愛らしい外見だが、中身はオヤジだ。甘やかしてやる必要はこれっぽっちもない。実年齢も三十一歳でやっぱりオヤジだ。そして言動はセクハラ魔神で、激しくオヤジだ。
「ふにゃあ。姉さんに現実を思い知らせて――いえ、事実を証明して差しあげませんと」
 眠そうな声がひとつ。つるぎのかわりに答えてきたのは、次女のかがみだった。いつも眠そうで無愛想な彼女だが、今日はなんだか、敵愾心のようなものが感じられて……?
「みんなでまーじゃんするお!」
 元気いっぱいに両腕を振りあげる三女のたま。こちらは長女とのつるぎと真逆の外見と性格だ。見た目はまんまグラビアアイドル。すっかり大人のおねえさんなのに、実年齢のほうは小学生。「なんちゃってAVアイドル」と、こっそり呼んでいるのは本人にはナイショだ。
「まーじゃんって……あの麻雀?」
「いやその麻雀とは違う。脱ぎマーだ」
「ぬぎまーって、……あの」
「そう。おまえがいま乙女の恥じらいとともに一瞬思い浮かべたそれだ。負けたら一枚ずつ脱いでゆくという掟の、それだ!」
 セクハラ魔神は嬉しそうに言う。
「うちではどんな種類のゲームも行うことは不可能なのです。トランプも麻雀牌も、無意識の改変によって図柄が変わってしまいます」
「いやあのときは白が八枚出てきてまいったよなー」
 なるほど。状況はなんとなくわかった。邪神三姉妹の家では三人で遊ぶことが不可能なので、対改変対霊障結界を張ってあるわたしの部屋にきたということだ。
 しかしなぜ脱ぎ麻雀? そんな過酷なゲームになぜわたしが呼ばれているのか。ぜんぜんわっかんない。ただのゲームならやってもいいけどむしろ呼んで欲しいけど。でもそんなのムリ。だってお兄ちゃんいるし。
「メンツたんないんだってば」
 クッションをばんばん叩きながら、つるぎは言う。
「メンツだったら……、おにいちゃんで四人でしょ? わたし見てるから……やってていいよ」
「こいつ脱がしてなにが楽しいんだよ」
「それがささみさんの希望であればー! 僕はどんなことでも応える準備があるよー!」
「ほら脱がさなくても脱ぐし」
 すぱぱぱーと服を脱いでいったお兄ちゃんを、ひどく冷めた目でつるぎは見る。お兄ちゃんは変態で、セクハラ甲斐がないのだろう。
「ははン――さては自信がないな。腕前もしくは負けてひん剥かれた際の自分のカラダに」
「なんですって?」
 やばいやばいやばい。わたしの闘志に火が付いてしまった。
 だけど客観的にいって一番スタイルに自信がないはずの貧弱な小学生女子から挑発されて、冷静でいられようか。
 ひきこもりをなめんな。およそたいていの対戦ゲームは攻略済みだ。四人打ち対戦サイトでのわたしのレート、しってんか? あァ?
 そして勝負が始まった。
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●イラスト指定
・雀卓を囲む邪神三姉妹。カラカラ笑いながら手招きする長女つるぎ(台詞なし)。
・ささみはパソコンに突っ伏している。画面を死守。いきなり踏みこまれて焦ってる感じ。服装は部屋にひきこもり時の普段着にて。
●コンテンツ ミニ知識「脱ぎマー」
12345678901234567890(20W×5)
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いわゆる「脱ぎ麻雀」のこと。通常の麻雀の
ルールと同じだが、負けた者が脱衣するとい
うペナルティが課せられている。ちなみに麻
雀のルールは知らなくても、だいじょうぶ!
「負けたら脱ぐ!」そこだけ覚えておこう!
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「ぬぎまー?(2)」
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「さあーて、四面待ちだぞー。いやこれは五面かなー。ああん。つるぎ、困っちゃう~」
 ミニテーブルの一面に移動して、わたしは麻雀牌と向き合っていた。
 しかしつるぎのやつ。たしかに豪語するだけの腕前だ。〝改変〟は使えないはずだし、使えば全員が気づくし、その状況で、テンパイ気配からリーチまでの速さが尋常でなかった。
 四面とか五面とか口で言っているのはもちろんフェイク。本当の待ちはもちろん他にあるわけで――ああでも裏の裏をかかれていたらどうしよう。あれもこれも捨てられないじゃない!
 テンパイを諦めてベタオリするか、あえて突っ張るか。わたしは悩みながら、一枚を切った。
「通し」
 つるぎが腕組みをしながらそう言う。ほんとエラそうに。
 わたしの下流にいるかがみが、牌をツモって、そのまま切ってゆく。
「ロオオオン!」
 そのときセクハラ魔神が、大声で吠えた。
「うわあびっくりしたあ!」
 自分が振り込んでしまったかのように、わたしは驚いてしまった。冷や汗がどっと噴き出してくる。ネット越しにやる対戦とぜんぜん勝手が違う。こんなの知らない。
「おや。振り込んでしまったようなのです」
 当事者のかがみは冷静だった。彼女はいつも冷静だ。
「脱ーげ! 脱ーげ!」
 つるぎが一人大合唱をはじめる。
「――ではどこから脱ぎましょう」
「靴下だとか、盛り下がることすんなよー?」
「そうですね」
 彼女はすっくと立ちあがった。そして手をスカートの内側に挿し入れて――脱いだ。
 脱いでしまった。
 ぱんつを。青白ボーダー柄の縞パンを。
「う――うおっ! おま――なにイキナリ最後の一枚をおぉ――ヤベくね? それヤベくね?」
「なにを動じているのでしょう。姉さん。セクハラ魔神ともあろうものが、取り乱すなんてみっともないですね」
 顔色も変えずに、かがみは言う。人形のようなその綺麗な顔に表情と呼べるものは特にない。
 しかしノーパンだ。この娘はいまノーパンなのだった。
「たまも脱ぐおー!」
 なんちゃってAVアイドルが、満面笑顔で立ちあがる。ロングスカートのなかにごそごそと手を入れて――脱いでしまう。アニマルプリントのクマさん柄だ。
「お、おま――負けてもないのに脱ぐなー! ルールわかってねーだろ! 嬉しーけど」
 動揺を隠しきれていない姉に、かがみは――。
「姉さん。さあ続きです」
 次の一局は心理戦となった。
「姉さん。次女のわたしと三女のたまが下着を脱いだというのに、よもや、長女の姉さんが靴下からとか、そんなくそケチくさいしみったれた真似をされて、場をシラけさせるなんてことはありませんよね。このセクハラ魔神の分際で」
 しきりに言葉で揺さぶりをかける。言葉の節々に遅効性の毒をまぶすことも忘れない。
「姉さん。リーチを掛けるばかりが戦略ではないのです。たとえばいまわたしが多面待ちしていたら、捨て牌を選べない姉さんには、逃げ場がないということになりますよね」
 わかりやすいつるぎと違い、無表情のかがみは、テンパイ気配が読めやしない。
「ど……、どうだああーっ!」
 つるぎが大上段から腕を振り下ろした。牌を捨てる。
「あ。それ。ロンです。姉さん」
 なにか思い出したかのような小さな声で、かがみが告げた。
「むぐうううぅーーっ!」
 つるぎは雀卓に突っ伏した。
 彼女は喜ぶときも嘆くときも、いつもオーバーアクションだ。ちょっとうらやましい。そう思うときもある。
「姉さん。お忘れかもしれないので申しあげますが。これは脱ぎマーです」
「だ……、だめっ。だめだってばほらっ。だって……。月読が……、いんよ?」
 つるぎが見るのは、部屋の隅で正座でお座りして、へっへっへっと忠犬っぽくこちらを見ているお兄ちゃん。
「おにいちゃん。ハウス」
 わたしは告げた。すっかり忘れていたが、お兄ちゃんは一個の変態である前に一人の男性だ。
「わかりました。下着は勘弁してあげましょう。そのかわりこれで」
 かがみはあっさりと言った。そして前もって用意してあったのか――。テーブルの上に、すっとなにかを差し出してきた。
 安全カミソリ。百円で買えるような、あんなやつ。
 ぷるぷるぷると、つるぎは首を横に振っていた。激しくノーだった。
「あ、あ、あ……あれはおまっ、姉さんがオトナであるたったひとつの証の――」
 今日、わたしは凄い光景を目撃した。それはセクハラ魔神がセクハラを受ける光景だった。
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●イラスト指定
・べそを書いている長女つるぎ。ぺたんと座って「わーん」と子供泣き。
・背中を向けているかがみ。ふう、とけだるげな顔。(ワンラウンドヤリ終わってタバコをプカーと吹かしているジゴロ風に)。
・かがみ、くるくると指にかけた下着を回している。下着は黒レース。
●コンテンツ 掛け合い
つるぎ「情け容赦もないな。血も涙もないな。姉さんはおまえをそんな子に育てた覚えはない」
かがみ「いえ情けはあります。ですからやめました。もう一度負けたら姉さんはパイ――」
つるぎ「わーわーわー!」



 
 ……と、「GJ部」はこんな感じで作られているのでした!
 プロフェッショナル! 仕事の流儀!
 おかげさまで1巻は重版も決まりまして、じわじわゆるりと世間に浸透中の4コマ小説。
 『GJ部(3)』は鋭意制作中! 9月17日ごろ発売です! いま少しお待ちください!!
 
 アンソロは、先に手を挙げた者勝ちなのです! (ぐ)でした。
 

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