佐藤大×虚淵玄(Nitro+)特別対談
2007年12月18日

『攻殻機動隊S.A.C,』『交響詩篇エウレカセブン』『FREEDOM』脚本家、佐藤大先生と耽美!猟奇!漆黒!のモダニズムを貫く孤高の美少女ゲームメーカー・ニトロプラスが過激にコラボレーション! 稀代の大問題作『続々・殺戮のジャンゴ害伝—地獄のビッチハイカー』は本日無事書店さんに並びました!
20日には青山ブックセンターで、ニトロプラス広報番長ニトロくん様(Nitro+)、宮昌太朗先生(『脳Rギュル』執筆)をゲストにお呼びしましての佐藤先生トークイベントも開催! お時間のあるかたは、ぜひ遊びに来てください。
さてこの度は無事発売を祝いましての急遽スペシャル対談をお送りいたします。スケジュールが割けず、トークイベントにはご欠席の『続・殺戮のジャンゴ—地獄の賞金首—』原作者・虚淵玄先生をお招きしての佐藤先生との発売記念特別対談です!
編集部 おかげさまでついに出来上がりまして。『続々・殺戮のジャンゴ 害伝—地獄のビッチハイカー』(以下、『害伝』)ですけど……いかがでしたか?
虚淵 予想の斜め上を行った(笑)っていう時点でもう、十分文句ない仕上がりだと思います。やっぱりね、こういう元気だと思うんです……いまの美少女ゲームに無くなくなってしまったものは(笑)。この元気をね、失っちゃったんですよ我々は。
佐藤 すごい嬉しいです(笑)。っていうかそれ、セールストークじゃないんですか?
虚淵 いや、いまは「美少女ゲームは儲かる」ってことが世間にバレちゃって、みんなけっこう真面目に作って真面目に儲けるようになっちゃったんですけど、それ以前は、予算の範囲で赤字さえ出さなければ何をやっても良い、っていう無法地帯だった時代があって、その頃はもっと面白かったんですよね。で、その無法地帯の面白さが、まさか書店の一角で復活するとは(笑)……そんな気分です。
佐藤 ありがとうございます。『続・殺戮のジャンゴ—地獄の賞金首—』(以下、『続ジャンゴ』)をプレイしてみてまず面白いなと思ったのは……久々に虚淵さんがシナリオ書かれたのにもかかわらず、いまの美少女ゲームの時流とは完全に真逆を行ってるじゃないですか。男性キャラが中心に居なくて、逆に女キャラが男性を虐殺したり、百人斬りもやっちゃう(笑)。ある種、自分が築き上げたジャンルを「愛しすぎたがゆえに」陵辱するような感じをぼくは受けて。だから、ここまでやっても怒られないかな? とか思ったんですけど。
虚淵 いやあ、むしろこのくらい自由であってほしいんですよね、『続ジャンゴ』はまさに「自由にやろう」っていうのを謳い文句にして始まった企画でしたので。
佐藤 しかも、根底にあるのがなぜかマカロニ・ウェスタンの世界で(笑)。で、十数年ぶりにマカロニ・ウェスタンの映画をもう一回観直してみたりしてみたんですけど……観る映画、観る映画の随所に「あ、このシーン、『続ジャンゴ』に使われてる」っていうのがすごい一杯ありました。
虚淵 細かく細かく入れましたから(笑)。
佐藤 だから『害伝』では、「あえて『夕陽のギャングたち』のワン・シーンを使ってみよう」とか、後追いだからこそできる作りかたを追求してみました。結果的には古今東西のデタラメな歴代映画、歴代TV番組もいろいろ突っ込んで解説まで付けて(笑)。美少女ゲームというよりは、虚淵さんに戦いを挑むような気持ちで書いたんですけど。そもそも虚淵さんはどんな気持ちでマカロニ・ウェスタンの世界を踏襲しようと思ったんですか?
虚淵 マカロニ・ウェスタン映画特有の自由な空気ってあるじゃないですか? これってまさに美少女ゲームが失くしちゃった遊び心だよな、って。またこの業界もマカロニ・ウェスタンみたいに無責任な世界になんねぇかなぁ……って思ったんですよね。
佐藤 確かに、マカロニ・ウェスタンにはいまのエンターテイメントが失ってしまった面白さがあるな、とは思いました。因果応報っていうかね、悪いことしたやつはそれなりに死ぬとか、そのかわり良いことしたやつもそれなりで死ぬとか(笑)。その対等に死んでゆく無様さとか、虚しさゆえの笑える感じとかね。いま観ると逆に健全さがありますよね。だっていま、TVで90分ドラマやっても、ひとり死ぬのに45分くらいかけて、しかもとっても素敵に死んでいくような脚本を書けと言われる。でも実際はそんなふうに素敵に死ねるひとなんて、ほとんどいないんですよ。
虚淵 まあでも、やっぱりいま求められるものは確実にそういう「癒やし」の方向ではありますよね。そう実感しているいま、果たして『続ジャンゴ』の、我々としての戦い方は、本当に正しかったのか……反省すべき点も多々あります。
佐藤 でもね。最初にガガガ文庫の編集部から「ニトロプラスっていう面白いゲームメーカーがあるんですよ」っていう話を聞かされて。『斬魔大聖デモンベイン』とか実際にいろいろプレイしてみて思ったのは、「このひとたちは何を考えているんだろう?」っていう意味での一貫した面白さ(笑)。それはすべての作品に感じましたけどもね。その姿勢は崩さずに続けて欲しいと思うんです。他のメーカーさんだったらたぶんこんなノベライズは書かせてくれなかっただろうし。
虚淵 まあそうですね。とにかくお客さんをビックリさせてナンボっていう気持ちがありますからね。ウチぐらいはバカやっても良いんじゃん? って常に僕は思ってますから。
佐藤 まあ、そのなかでも『続ジャンゴ』はたぶんこれからもしばらくは「最極北」に位置し続けるとは思いますけど(笑)。
この後もまだまだ熱いトークは続きました! 20日の青山ブックセンターのトークイベント会場では、このあとのおふたりの対談も音声にて抜粋放送予定。お楽しみに!(編集部m)
トークイベント詳細は青山ブックセンター公式サイトをご確認ください。
http://www.aoyamabc.co.jp/
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