『Mのフォークロア』刊行記念インタビュー
2007年07月13日

えー、ガガガ文庫、7月刊の発売日が迫ってまいりました。今月もよろしくお願いします。
突然ですが、7月18日にガガガ文庫より発売される『Mのフォークロア キュクノスの迷宮』の刊行にあわせまして、著者の三上康明氏とイラストレーターの連(むらじ)氏にお話をうかがいましたのでインタビューをお送りします。
三上さんは昨年スーパーダッシュ文庫さんでデビューされた作家さんで、縁あってガガガ初登場となりました。連さんは『マジキュー』さんなどで活動されていらっしゃる絵描きさんで、ライトノベルの挿絵は初となります。
食事をしているときに思いつきで敢行したので内容的にはややまとまりに欠けますが……ご容赦ください。
全3回に分けてお届けする予定です。
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――今日は刊行記念インタビューということで、著者の三上康明さんと、イラストレーターの連さんにお話を伺おうと思います。よろしくお願いします。
連 こんにちは。今回ライトノベルの挿絵を初めてやらせていただきました、連です。
三上康明(以下、三上) 三上です。よろしくお願いします。
連 いやー、なんか台風が来てるみたいですけど。やばいっすね。
三上康明(以下、三上) いやー、そうですね。今日も雨がすごい!
――ガガガトークとは違ってポッドキャスト配信はしないので、ラジオっぽいしゃべりを意識しなくていいですよ(笑)。
三上 というかですね、あの……先にひとつ聞いていいですか? こんなインタビュー、やってましたっけ?
――いや、やってないです。今回がはじめてです。
三上 ???
――「ブログが更新されない」と三上さんが会うたびにしきりにおっしゃるので……企画を、ね。次に同様のことをやるのかどうかもわかりません。
三上 ……藪をつついて蛇を出すという言葉の意味を、初めて知りました。
――では、早速質問を。『Mのフォークロア』は、鶴見絵璃というひきこもり気味の女子中学生がオンラインゲームをプレイ中に、聖徳太子の顔みたいなグラフィックを目撃した途端、意識不明の重体に陥るという導入から始まり、絵璃の兄貴の圭悟(高校生)が、絵璃を救おうと奔走すると。で、スクールカウンセラーの仲根になぜか迫られたり、同級生の愛香にまずい手料理を食わされたり、民俗学者の間宮むつきに罵倒されたりしながら事件の謎に迫っていくという話なんですが、そもそもなんでまたオンラインゲームと民俗学というネタで書こうと思ったんですか?
三上 歴史って学校の授業で習うわけですけど、でも年表に年号が書かれるような出来事は、だいたい武士とか僧侶とか当時えらかった人間がしたことなんですよね。それ以外のふつうのひとたち、大多数の人たちがどういう生活をしていたのかとかについては、ほとんど扱われない。でも、昔のひとが何を考えていたのかとか、戒律とか村のきまりとか迷信がどういう理由で存在していたのかとかに興味があって、調べていくとすごく面白い。夜這いの仕方とか。大変残念ながら本作に夜這いのシーンは出てきませんが。で、そういう庶民の歴史みたいなものを扱っているのが民俗学だったわけです。
あとオンラインゲームは……僕が好きだからですね(笑)。
――『Mのフォークロア』だと民俗学者の谷川健一さんが白鳥にまつわる逸話等々について書いた『白鳥伝説』が参考文献にあがっていますが、谷川先生の本だと『青銅の神の足跡』で高橋弥七郎さんの『灼眼のシャナ』(電撃文庫)にも出てくる天目一箇(天目一個)神について論じていたりとかしますよね。
三上 白鳥伝説は日本武尊(やまとたけるのみこと)がメジャーなのですが、今回はちょっと違った切り口になっています。谷川先生は日本武尊から入っておられますね。ちなみにデビュー作の『ストーンヒート・クレイジー』(スーパーダッシュ文庫)は、僕が鉱石好きだったから、石がテーマの話を書いたんですよ。石が人知れず山奥で輝いてるって、なんかいいじゃないですか。
連 へー。
――基本的に自分の好きなものを扱って書いているんですね。
三上 そうかもしれないですね。ちなみに『Mのフォークロア』のなかで、主人公の圭悟が「QO」というゲームのプレイヤー登録をするときに、キャラ名を「ケーゴさま」っていうふざけた名前にするんですけど、これも実は意味があるんですよ。東北の一部では白鳥が尊い存在とされていて、「くえー、くえー」と鳴くので「ケーコさま」と呼ばれてる地域もあって。それでキャラ名を民俗学者のむつきにいじられてるんですが……はい、誰も気づかないような小ネタでした。
連 ぜんぜんわからなかった(笑)。
三上 ですよね。わかられたらそれはそれで怖い(笑)。とにかく、民俗学はおもしろいです。
連 そういう習俗と関係する、宮城県のあるところが舞台になるじゃないですか。これって取材とかしたんですか?
三上 現地に行きました。
連 旅行に行ったんですか。いいですねー。
三上 いや、それがですね、ちょっとした休みを利用しての取材旅行だったからスケジュールがギチギチで、ゆっくり楽しむような感じではなくて(笑)。あらかじめ調べをつけておいて、見るべきものを見て、誰かに話をきくべきものはきいて、で、終わり(笑)。
でも仕事でしたけど、それでもよかったですね。うちの近所にあるような、どこにでもありそうな神社なのに歴史があって。バックグラウンドを知って神社とかを訪ねると、ちがったものが見えてきておもしろいですよ。
連 今回イラストを描いていて、僕は現地に行ったことがなかったんでネットでいろいろ検索して調べたりとかしたんですけど、やっぱり行かないと雰囲気わかんないなーと思いましたね。
三上 行かないとわかんない部分はどうしてもありますよね。小説だったら文献だけを資料にして書こうと思えば書けちゃうんですけど、国内だったら行こうと思えば行けるし、行けばわかるようなところなんだから、行けばいいかなと思って。
連 なるほど。(つづく)
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